パトラッシュ、僕はもう疲れたよ
自分が幼い頃、日曜日の晩 7:30より放送されていた「世界名作劇場」について思う事がある。
「フランダースの犬」「母を訪ねて三千里」を始め、自分が高校生になるくらいまで14作品ほど見てきた。感動の名作ばかりである・・。
そのストーリーはこうだ!
基本、貧しい家庭に育った少年、少女である。
苦境に立ち向かいながらも勇気を奮い立たせ、未来への希望を諦めない。
それが報われたのか基本ハッピーエンド(フランダースの犬は除く)
だがしかし!
大人になって冷静に考えれば以下の点に誰もが気付くはずだ。
そのハッピーエンドの在り方である。
「ペリーヌ物語」にしても、いちばん展開が悲惨な「小公女セーラ」にしても、実は自分の努力によって勝ち取った未来ではないのである。
もっとも10代の貧しい少年少女に何の力もあろうはずもない。
持ち合わせている武器は「澄み切った心」。それオンリーである。
それだけの才覚でバラ色な結末を獲得できるほど、世の中は甘くない。
それでも人生を転換させる好機を迎えれるのは・・・
実は「大金持ちの実業家の忘れ形見の孫や娘」が基本。
あるいは、ふと知り合った金持ちの年老いた実業家に好かれる。
というのが、ラスト5話あたりから始まる逆転のストーリーである。
これって現在でいう「玉の輿」じゃないのか?
唯一、フランダースの犬の主人公・ネロは、残念ながら金持ち実業家どもの知遇を得ず、悲しいBADエンドを迎えた珍しい作品である。故に同情を引き評価が高い。
つまり、「世界名作劇場」が伝えたかったものとは、
自力では何も出来ないんだ。
世の中は金なんだ。という世間の冷たさと無情さ。
人生を変えるのは他力本願!
そう、我々日本人に対し人生というものを、もう一度改めて考えさせてくれる機会を与えてくれた世界の作品ではなかろうか。