ラクダのぱんつ

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凄惨マッチ安川惡斗vs世IV虎 折れた心の先にある戦い

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2月22日に行われた凄惨マッチ 女子プロレス,、安川惡斗世IV虎(よしこ)の戦いは凄惨な「ケンカマッチ」となった。この件はプロレスファンの世界じゃなく、ニュースでも取り上げられて物議を醸しているのは周知のとおりだ。

結果は四IV虎が馬乗り状態で殴り続けるなど一方的な展開となっり、安川惡斗は顔面を複数個所骨折し血みどろの状態だ。まさにプロレスの世界を超えている。ニュースの写真を見てやり過ぎとの批判は多い。凄惨な写真だ。

さて一時的にニュース記事と写真だけ見れば、ここまでの感想である。だがユーチューブなどで映像を確認すると、自分には他にも考えさせられることが出てくる。

 

 試合の展開

 

試合の展開から見ていこう。まず立ち合いににらみ合いが続き、業を煮やした安川惡斗がパンチをお見舞いして試合が始まった。顔面パンチは禁じ手といえばそうだが、プロレスのファーストタッチではよくある話。先に手を出したのは安川惡斗という批判があるがプロレスファンには見慣れた光景でもある。おそらく彼女もそういう気心だろう。

だがそれに反応した四IV虎は本気だった。もともと仲が悪いらしい2人である。ここから一気に「本気」になってっしまった。安川惡斗の言葉を使えば「やらなきゃ、やられる」なのだ。

 

もともと体格差も大きい2人、最初の攻勢であっいう間に世IV虎の一方的展開。映像ではよく分かりずらいがほんの1分程、そんなにスゴイのが入ったようにも見えなかったが、組み合った後にレフリーが2人を引き離したとき安川惡斗は鼻から大量に出血している。ここでいったん治療のために2人を分けた。鼻が折れたみたいだ。

もはや勝負はあった。普通のボクシングなどでもここで終了だろう。週刊プロレスの表紙の写真はおそらくこのシーン。涙目でレフリーを見上げる安川惡斗。もう心も折れている。普通の格闘技であればここで終了なわけだ。だがプロレスではここでは終わらない世界。勝ち目がなさそうだから放棄・負けとして終了させることが出来ない変な世界。あくまでスリーカウントかギブアップでしか終わらないと思う。過去に前例があったかは知らない。つまりもう逃げ出したくても逃げれないわけだ。安川のコメントに「1分や2分で終わったら観客に申し訳なくて・・」との言葉から本当は心が折れていたことはまず間違いないだろう。

プロレスとはもともとショー的であり、ガチではない。だから実際にガチになったときに、その辺の区別をつけにくく、周りもレフリーもどう判断していいか分からないと思う。いや観客さえもプロレスでは「試合から逃げる」という負け方を許さないと思う。

そして再び戦いが始まった。すぐに世IV虎の一方的攻勢で安川惡斗は何もできないでただ殴りつけられ続けた。ボコボコである。たまらずレフリーが割って入り、その隙に安川惡斗はリング外へ逃れた。セコンドがたまらず心配そうにかけ寄る。安川はまた再びリングに上がろうとしたがセコンドはそれを静止しようとし、レフリーもセコンドにタオルを投げることを促して試合は終了した。ちなみに、ここでレフリーには試合を止める権利がないことが伺える。

 

ここで自分はずっと考えている。凄惨だったのは写真映像ではなく、やはり試合内容なのだ。怪我の具合程度のことでもなく、試合の有り方、行方の話。

 

 凄惨な戦いとは

 

あのとき止めなければ試合はどうなったかという話だ。

安川の1度目のダウンでのストップのとき彼女は少し怯えた部分あったと思う。心が折れ普通はここで終わりだ。だが2度目のときの試合をストップさせる前の状況のときは訳が違う。彼女はセコンドの静止を聞かずにリングへ上がろうとした。ヤフーニュースの先輩レスラー神取さんの言葉を使えば「ここまできたら痛みや恐怖は感じない」らしい。分かる気がする。この辺のシーンを見てその姿に「安川さんの闘争本能に感動した」とか「折れない心に感動した」とのコメントがあるがそれは間違いなのだ。これは折れた心の先にあるものなのだ。

実はずっと自分がここが気になる。「折れた心の先にある戦い」

心が折れても戦わなければならない状況になったとき、人はどんな戦い方をするのか。果してどんな決着が付くのであろうか。

基本的に逆転などありえない。痛みもなけれな恐怖もないが、でも思考もあろうはずもない。頭の中は混乱してぼーっとしているはず。戦いという意識はあっても「試合」という意識もないはずだ。あのとき止めなければ安川惡斗の終わりはどこに在ったのだろうかと考えてしまう。

逆に世IV虎から見るときは簡単だろう。安川が動けなくなるまでだ。喧嘩と同じで相手が立ち上がれなくなるか、あるいは失神したで世IV虎の攻撃は終了する。おそらく後者だ。

しかし安川にとっては心が折れた先にある戦いだから、彼女がもう自ら逃げることは無い。そういえば安川はリングを去る時に大声で叫んでいた。終わりはないのだ、動けなくなるまでは。だからもうギブアップは無い。例え腕をへし折られようと戦い続けようとするだろう。まさに凄惨な戦いだ。

 

で問題は安川惡斗が奇跡的形勢逆転したときの終わ方のほうだ。

絶対ありえないけど、あり得た場合どのような結果になるか知っている人はいるのだろうか。自分は知らない。知るのはテレビ・漫画の世界のみ。漫画では安川のような状況になったとき、ただ一直線へ相手へ突っ込んでいくのみ。おそらく安川もあのとき止めなければ、同じく一直線に向かっていっただろう。試合的な作戦的思考も無く。そして漫画での逆転のパターンではたまたま相手がつまずいた時にワンパンチで失神KOとかのあり得ない展開しかない。

その後失神した相手に馬乗りになり、ずっと相手の顔面を殴り続ける。ただひたすら・・。殴っている本人にもまともな意識は無い。そして腕が上がらなくなるまで殴りつつげて、静かに雨が降り注ぐ・・・。やがて本人は立ち上がり静かにそこを去っていくようなシーンだ。漫画ではその後の描写は途切れる場合が多いが、普通に考えたら死んでいるであろう。意識もない人間が延々と殴られ続けるのだから。

これをそのまま、あの試合に当てはめていいのだろうか。

もし試合が止められずに安川惡斗があのまま突っ込んでワンパンチで世IV虎を倒した場合、そのまま抑え込んでスリーカウントにいっただろうか。

プロレスの意識があればそのままフォールの態勢だろうが、やはり漫画の世界の方へ突入した可能性の方が高そうだ。一回目のストップで安川の心が折れかかっているとき、その後の戦いで安川が先手を取った場合はプロレスになってフォールの体制へ持ち込んだかもしれない。しかし2回目のストップの後の最後の状況では、やはり漫画の通りになってしまいそうだ。

結局どっちに転んでも凄惨な結末しか待っていない。

 

 過去の事例と比較する

 

いままでこんな戦いがあっただろうか。もちろんあったかもしれない。でも印象にはそれほど残っていない。基本的にはレフリーがいるからそこまでは有り得ないはずだ。だが今回の戦いは妙に印象に残った。2人の因果関係、圧倒的な力の差、そして一旦は途中で試合をストップしても、そこから逃げ出せず戦い続けなければならない状況。絶望的な戦い。

過去にこんな戦いがあったのか、ヤフーニュースで引き合いに出されているのも確認してみた。女子プロレスラーで、こんなにひどくボコボコにされた試合では2000年7月2日、上記の神取忍と天竜源一郎の試合がある。確かに試合後の神取さんは顔がすごく腫れ上がっている。しかし天竜源一郎の攻撃を見てみるとチョップやパンチなど、いつものプロレスの攻撃だ。少々荒っぽく見えるが、大先輩の天竜からの愛のムチのようなものである。腫れはひどくても数日で回復している。大きな負傷ではない。また試合後に神取さんがリングでマイクを握っていることからも大丈夫そうだ。荒くてもあくまでプロレスの試合。さすがは天竜源一郎。

もう一つ引き合いに出されるのが神取忍ジャッキー佐藤女子プロレスの映像だ。これもユーチューブにある。荒っぽい顔面パンチもあり顔を腫らしている。しかし試合内容はレスリング部分の方が多く、決め手も関節技で試合は終了している。またジャッキー佐藤は自分には途中で心が折れていたようにも感じて、そのためやる気を無くしてさっさとリングを降りたようにも見受けられた(あくまで私見)。もちろん両者に深い負傷もなく、荒っぽいプロレスの範疇だと思う。また神取さんは試合の事前にこのような試合になるだろうとフロントにも伝えていたらしい。

つまりこの2試合はそれほど自分の心に印象を残さない。あくまでプロレスの試合なのだ。折れた心の先にある「覚悟」のある戦いまでには至っていないからである。

 

 人として許されない行為

 

だが、安川惡斗世IV虎の試合「凄惨マッチ」は、本当に戦いそのものが凄惨なのだ。折れた心の先にある「覚悟」のある戦いにまで至っている。追い詰められた人の行く先にあるものを考えさせられてしまう。映画の世界ならともかくそれが現実のものとなっている。

自分は別にそんなコアなプロレスファンではないが、2人の経歴も知らないけど、試合を見た感想は・・・

世IV虎というやつを殺してしまいたいと思ったほどだ。

それは怒りではなく、むしろ憎しみ。

人として許されない。

はっきりいって自分はこんなもの考えたくもない。見たくなかった。しかしこれだけニュースで取り上げられると、誰もが知るところとなってしまう。関心を示す人が多いのは、自分と同じものを見た人が多いのかもしれない。まったく関係のないただのニュース視聴者にさえこのような「憎しみ」の感情を与えてしまった「世IV虎」。人として許されない「世IV虎」。

しかしいつまでも彼女ばかりを責めてもいられない。早く自分も忘れ去りたい。

むしろスターダムという会社の今回の責任の取り方に疑問を感じる。